室町幕府2代将軍 足利義詮の手紙発見 宮崎文庫記念館(黒部)所蔵
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室町幕府2代将軍の足利義詮(よしあきら)(1330~67年)がしたためた直筆の手紙が、宮崎文庫記念館(黒部市荒町)の所蔵資料に含まれていることが分かった。南北朝の争乱期に世の中が穏やかに治まるよう祈祷(きとう)を命じる内容で、富山市郷土博物館の萩原大輔主査学芸員が確認した。県内に残る古文書として2番目に古いとみられる。

 手紙は縦約30センチ、横約36センチで、義詮の花押(サイン)がある。1354年9月2日の日付で「天下静謐(せいひつ)祈祷事、近日殊可被致精誠之状、如件」と書かれている。通常は花押の左側に書かれている宛先部分が切断されており、誰に宛てたものか分からない。

 義詮は室町幕府初代将軍、足利尊氏(1305~58年)の三男。当時は南北朝の争乱期で、北朝の尊氏と義詮らが全国の寺社に宛てて天下安寧を祈るように命じる手紙を送っていた。萩原学芸員によると同種の書状は全国で少なくとも80通以上確認されているが、宮崎文庫記念館の手紙は存在を知られていなかった。萩原学芸員によると、県内に残る最古の古文書は越中守護桃井直信(ただのぶ)が1353年、芦峅寺の僧侶に宛てた書状で、今回確認された手紙はこれに次ぐ古さとみられる。

 宮崎文庫記念館は黒部市出身の実業家、故宮崎隆造さんが1991年に開設。自ら収集した文学、歴史関係の資料約650点を所蔵する。文学史料は国文学研究資料館(東京)がマイクロフィルム化するなど研究が進んでいるが、歴史史料を専門家が調査するのは初めて。

 萩原学芸員は「当時の政治情勢を知る手がかりになる。宮崎文庫の所蔵資料を専門的に調べることで、新たな発見があるのではないか」と話した。

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