外国人労働者の流入が大幅増(ロシア)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/08/b92a641ffa6b1807.html

ロシアのコンサルティング会社フィンエクスペルティザが内務省の移民統計に基づいて調査したところ、
第2四半期(4~6月)に就労目的でロシアに入国した外国人の数は312万人に上り、統計を比較できる2017年以降で最多となった。

前年同期比で約3割増加し、新型コロナウイルス禍による入国制限のあった2020年と比較すると、実に10倍近くの水準だった(「フィンエクスペルティザ」8月8日)。

外国人労働者数を出身国別にみると、流入者全体の約半数の154万人がウズベキスタンからだった(2022年7月26日記事参照)。
これにタジキスタン(95万人)、キルギス(22万人)が続いた。

フィンエクスペルティザは外国からの労働者が増加した背景として、
a.自国通貨に対してロシア通貨ルーブルの為替レートが上昇したことにより、外国人にとってロシアで賃金を得る魅力が高まったことや、
b.移民が主に従事する建設分野が好調に推移したことなどを挙げている。
「コメルサント」紙(8月10日)は2021年の新型コロナウイルス感染のパンデミック状況下で発表された法令により(注)により、
外国人労働者の多くがロシア国内で合法的な地位を得ることができ、ロシアの労働市場の魅力が高まったと指摘した

現時点でロシア人の働き手にとって外国人労働者の存在は脅威とはなっていない。
伝統的に移民はロシア人があまり就くことのない建設や農業、住宅・公共サービスの分野に従事するためだ。
フィンエクスペルティザのエレーナ・トルブニコワ社長は「ロシアで労働力不足は解消していない。
危機的な場面にもかかわらず、失業率は低い水準にとどまっている。結果的にCIS諸国からの労働者はロシアで良い仕事を得ている」と話している。
ただ、外国企業の撤退などによって失業者の増加が今後見込まれる中、ロシア人もこれまでは移民が中心だった分野に働き口を求めていく可能性がある。