本場イタリアではダメだったのか?ドミノ・ピザがイタリア全店舗を閉鎖

 ピザ(ピッツァ)の発祥の地といえばイタリアだが、ピザ大好きな国と言えばアメリカと即答できるレベルで浸透しており、
独自に進化したピザは世界を席巻している。

 今回、イタリアに店舗展開を目指して進出していたアメリカの大手ピザチェーン「ドミノ・ピザ」が、イタリアから全面撤退したことが報じられた。

 7年前に進出したドミノ・ピザが撤退した理由は、本場イタリアではアメリカのピザが認められなかったからなの?どうなの?

 イタリアからドミノ・ピザが全面撤退

 ピザの本場イタリアにアメリカのドミノ・ピザが進出したのは、2015年のこと。
以降、イタリア国内ではePizzaが親会社となり、2020年までは同社が23店舗を直接経営し、6店舗がフランチャイズ契約で運営されていた。

 ドミノ・ピザの代表者は、「我が社の成功は、パイナップルをピザにのせることを恐れないイタリア人がいることを示している」と
店舗展開の順調ぶりを誇り、イタリア国内で880店舗をオープンする計画を発表していた。

 同業他社のデリバリー戦略に敗れ経営難となり破産

 ところが、地元の独立系の競合他社が、パンデミック時にJust EatやDeliverooなどの配達会社と契約を結ぶと、
ドミノ・ピザの優位性は急速に失われた。

 ePizzaは、会社を存続させるため必死の努力をし、多額の債務を負ったが、その返済保護措置が今年7月に期限切れとなった。

 破産手続きの書類によると、ePizzaは4月初旬に既に破産手続きの開始を申請していたという。

 こうして、7月20日にイタリアのドミノ・ピザの最後の店舗が閉鎖となり、アメリカのピザは事実上イタリアから撤退したことが発表された。

文化の違いも要因の1つ

 2015年からわずか7年でイタリアから撤退する形となったドミノ・ピザ。

 当初は、ピザの本場で2%の市場シェアを獲得することを計画していたが、そのキャンペーンが失敗に終わった理由として、
「フード・デリバリー市場での他社との競争が大幅に激化した」とドミノ・ピザ側は述べている。

 それに加えて、やはり文化の違いというのも大きいようだ。

 アメリカのピザスタイルを持つドミノ・ピザのピザについて、イタリア人は「トッピングやチーズが多すぎる」
「やっぱりピザはイタリアの本場のでないと」という人も多かったようだ。

 また、「ピザ発祥の地でアメリカのピザ!?それってイタリア人の僕たちが、イギリスに行ってフィッシュ&チップスを作ったり、
中国に行って中華料理を料理したりするようなものだよ。まったくもって矛盾してるって」と苦笑を誘った他、
ソーシャルメディアでも「ドミノ・ピザがイタリア進出なんて、北極で雪を売るようなものだ」といった声が寄せられていた。

 結果として、ドミノ・ピザはピザの本場イタリアでは定着しなかったが、1960 年にミシガン州創業した同社は、
現在ではアメリカだけで 5,649 店舗以上を展開し、世界的なファーストフード・チェーンの1つとして成功を収めている。

 おっと最後に誤解のないように付け加えておくが、ピザにパイナップルを最初に乗せるアイデアはアメリカ発祥ではなくカナダだ。

 1960年代にカナダ、オンタリオ州で誕生したと言われている。考案者はサム・パノポウロスさんで、
デトロイトで出会ったピザを自分のお店でアレンジし、パイナップルの缶詰を乗せた。

 このとき使った缶詰のパイナップルのブランドが「ハワイアン」だったことからパイナップルピザはハワイアンピザと呼ばれるようになったそうだ。

https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52315161/