80代の政治家に日本の将来を任せるぐらいなら…成田悠輔が「ネコを政治家にすべき」と真剣に訴えるワケ(プレジデントオンライン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/550f2b07ad64877648dd7d31f06ba12cdf8d759d
選挙や政治家は本当に必要なのだろうか。イエール大学助教授の成田悠輔さんは「将来的には政治家はソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられ、自動化されていくだろう。言い換えれば、政治家はネコやゴキブリで代用できるようになる」という。著書『22世紀の民主主義』(SB新書)からお届けする――。
現在、間接代議民主主義で政治家が担っている役割は主に二つある。
----------
(1)政策的な指針を決定し行政機構を使って実行する「調整者・実行者としての政治家」
(2)政治・立法の顔になって熱狂や非難を引き受け世論のガス抜きをする「アイドル・マスコット・サンドバッグとしての政治家」
----------
私は「調整者・実行者としての政治家」は、ソフトウェアやアルゴリズムに置き換えられ自動化されていくと思っている。
そして「アイドル・マスコット・サンドバッグとしての政治家」はネコやゴキブリ、VTuber(Virtual YouTuber)やバーチャル・インフルエンサーのような仮想人に置き換えられていくと読んでいる。
ネコによる置き換えは「キャラ」問題に関係している。現在の複雑すぎる社会では、政治家が経済や医療や軍事などあらゆる課題を理解して適切な判断を下すという建前には無理がある。
みんな薄々気づいているが、それを言っちゃおしまいなので、人間たちが大問題についてそれっぽいことをまくしたてるテレビの政治討論を倦怠(けんたい)感とともに眺めている。
本音では、しかし、政治家が果たすべき最大の役割は無数の課題に対する合理的判断ではなく、「いい感じのキャラ」を提供することだとわかっている。人としての器が大きい感じ、マンガ・アニメキャラのコスプレでもして一笑いさせてくれる感じ、単にイケメン・カワイイ・イケボ、そしていつまででも噂や悪口を言いたくなる飽きさせない見出し力といったものだ。
だが、噛めば噛むほど味が出るキャラが必要なだけなのであれば、なぜ人間でなければならないのだろう?
たとえばネコ。ネコに被選挙権を与えたとして、ネコにキャラで勝てる人間政治家は何人いるだろうか? アイドルとしての政治家を代替できるのはネコで、スケープゴートとして袋叩きにする政治家を代替する存在は別に作り出せばいい。
ゴキブリなどを使うのがいいかもしれない。そう、ゴキブリだ。
私たちの社会はだんだん「人間を属性で区別するな」という社会になっている。男女で区別するな、年齢で区別するな、人類皆同じと考えようという方向にだんだん向かっている。
この流れが今後も続くと、人間とそれ以外の動物や生命も区別するなという方向にいくと予想できる。ある種のベジタリアンやビーガンの友人たちと話すと、解体される鶏や〆られるサバが感じる痛みへの共感を切々と語ってくれることがある。あの感じだ。
数百年から数千年かけて優しく非暴力的になりつづけている人類史を考えると、だんだんとベジタリアン・ビーガン的なあの感じが人類全体に拡がっていくのだろう。
すると、ネコと人間の区別や、人間とゴキブリの区別は薄れて大事ではなくなっていく。そうなれば政治家の好かれるキャラはネコで、嫌われるキャラはゴキブリか何かに分解しておけばいいのではないか? 本気でそう考えている。
(中略
----------
成田 悠輔(なりた・ゆうすけ)
米イェール大学 助教授、半熟仮想 代表
専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビューInnovators under 35 Japan・KDDI Foundation Award貢献賞など受賞。
----------