安倍晋三元首相への銃撃事件以降、注目を集める旧統一教会(世界平和統一家庭連合)。
数多くの関連会社を抱え、健康食品の販売などで莫大な利益を上げているとされるが、詳しい実態は明らかになっていない。

今回、旧統一教会のダミー会社へ健康食品を納入している製造業者が、筆者の取材に初めて口を開き、内情の一端を話した。

「うちが健康食品を卸すようになって、十数年になります。ある日、突然電話がかかってきて『おたくに製造を頼みたい』と言われました。
正直、不審に感じましたが、そのあとすぐにスーツ姿の男性2人がやってきて、話がまとまりました。
もちろん、彼らは統一教会だなんて言わないし、そのときは、私も想像だにしませんでした」(製造業者、以下同)

まずは3tの受注からスタート。その後、毎年のように増産し、現在は、当初の生産量の4倍を超えているという。

「カネ払いは決して悪くなく、毎回きっちり精算してくれます。先方の対応も、感じがいいです」

製造業者は、会社から研修も依頼されたという。商品の使用法や特徴を説明するためだ。

「参加するのは4~5人だと思って、軽い気持ちで引き受けたら、とんでもない。なんと50人もいたんです。聴講者は全員女性で、おまけに20代の若い女性ばかりで、ビックリでしました。

女性たちは、男性が運転するマイクロバス数台に分乗してやってきました。班長らしき男性から、しっかり説明を聞くように指示され、真剣にメモを取る女性もいました」

研修は計3回、おこなわれた。女性たちは誰もが礼儀正しく、身だしなみも整っていた。
髪を染めている人などはおらず、多くがスッピン。全員が男性幹部の指示に素直に従い、私語も交わさなかったという。

「3回とも顔ぶれが違うんです。よくこんなに若い子が集まるもんだ、と思いました。
やがて、彼女たちが統一教会の信者で、“マイクロ隊” の売り子だとわかってきました。
なぜわかったかというと、彼女たちはうちが卸した商品を、私の親戚や知り合いの家にまで販売していたからです」

“マイクロ隊” とは、若い女性信者の売り子たちがマイクロバスで移動することから、いつしか呼ばれるようになった名前だ。
女性信者たちは、特定の場所で全員、降ろされ、そこから一定の範囲を手分けし、戸別訪問して商品を売り歩く。
夕方になると、再び降ろされた場所に集合して、バスに乗って帰る。

この会社は、関東北部の中核都市にある。社屋は一見するとアパート風で、住宅地にあるため、営業活動をしている雰囲気はまったくない。
ここで女性信者たちは共同生活をおこない、早朝からマイクロバスで出かけて、夕方に戻ってくるという日々を送っている。