だが、トランプ氏のカリスマ性に毎日接してきた「マール・ア・ラーゴの居住者」の中に「通報者」が出ていた、というショッキングな証言が飛び出した。

 8月11日、ウォールストリート・ジャーナルとニューズウィークが「トランプ氏がまだ機密文書を隠匿していると、FBIに通報したのは『トランプ氏に極めて近い人物』だった」とスクープしたのだ。

 これを受けてトランプ政権末期の15か月間、大統領首席補佐官だったミック・マルバニイ氏が同日、CNNとのインタビューでこう明かした。

「漏らした人間は、おそらく6人から8人のうちの誰かだ。首席補佐官だった私だってトランプ氏が機密文書をホワイトハウスから持ち出し、フロリダの私邸に隠匿していたことなど知らなかった」

「ローリング・ストーン」は、「通報者がいたとの報道を知ってトランプ氏はパラノイア症状に陥った」と伝えている。

上記のメディア報道を総合すると、以下のような経緯が明らかになってくる。

一、FBI捜査官はトランプ氏の私邸を家宅捜査した際、機密文書がどの部屋のどこにあるかを事前に察知していた。例えば、どの部屋のどこにある金庫にあるか、すべて知っていた。それは「通報者」からの詳細な情報があったからだ。

二、米国立公文書記録管理局(NARA)は1月にトランプ氏が機密文書の一部を返却した際に、これがすべてではないと判断、司法省にさらなる内偵を依頼していた。

三、その時点でトランプ氏に「きわめて近い人物」から隠匿の事実を伝えられた。

四、マルバニイ氏によれば、そのことを知っているのはトランプ氏を含むごく少数だ。おそらく6人から8人ぐらいの人間だ。

 その人物は誰か。まさにアガサ・クリスティやシャーロック・ホームズの世界だ。

 トランプ氏は大統領退任後、「マール・ア・ラーゴ」に蟄居。

 数人のスタッフを従えて「第45代大統領執務室」を設けて政治活動を開始して以後、「きわめて近い人物」、つまり「マール・ア・ラーゴの居住者」(通いの人間も含め)ということにならないだろうか。
https://news.biglobe.ne.jp/international/0818/jbp_220818_3042298641.html