この上場廃止警告リストは2020年末に成立した外国企業説明責任法(HFCAA)に基づく措置だ。米国に上場している中国企業の決算報告書を監査している監査法人は、米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)による資料の確認や立ち入り検査を受け入れる義務があったが、中国政府は検査を拒否するよう指示してきた。

 中国の監査法人は立場が弱く、他国と比べても企業に丸め込まれて粉飾決算を見逃す不正に走りがち。以前から指摘されていた話だが、米国に上場した中国企業の粉飾決算が明るみに出て、投資家に多大な損害をもたらした事件は少なくない。2020年には「中国版スタバ」と呼ばれた喫茶店チェーンのラッキンコーヒーが、22億元(約440億円)もの架空売上を計上していたことが発覚。新規株式公開(IPO)からわずか13カ月で上場廃止になるという事件もあった。

 中国株の上場は米金融業界にとっては大きなビジネスだけにお目こぼしされ続けてきたが、米中対立が深まるなか、ついに米政府も重い腰を上げ、HFCAAの成立にいたった。