「Dappi」の投稿は平日のに午前9時?午後10時に集中し、1日平均6件ほどであることが明らかになっている。業務中、会社側に“バレず”にこれだけの投稿を私的にすることが可能なのかーー。裁判ではこの点が、新たな焦点となった。
WEB制作会社側は今回の裁判までに提出した準備書面で、新たに「一連の投稿は投稿者1人で比較的短時間で行うことができ、その労力も限定的であったことから、会社の業務に支障を来さない範囲で行うことが十分に可能であった」と主張した。
会社側の主張によると、「Dappi」の動画は従業員が私的に購入した市販の動画編集ソフトで動画の必要部分を抽出。聴きながら要約・文字起こしし、Twitterに投稿していたという。この作業には10分程度かかるとしている。
さらに、国会中継の場合は、あらかじめ審議のスケジュールを把握し、関心のある部分などをダウンロードし、編集していたという。また、1投稿分の作業で複数ツイートに及ぶこともあるともした。

当該従業員が2021年1月18日に「Dappi」に投稿された国会中継の切り取り動画(画像上)の作業を再現をしたところ、動画のダウンロードから投稿まで20分ほどで作業ができた、としている。
こうした作業が業務時間中に行われていてもバレなかったのかーーという疑問に対しては、ほかの社員や役員が当該従業員による「Dappi」投稿の作成に「気づくことは一切なかった」としている。
コロナ前からテレワークを実施しており会社には平均2?3人しかいなかったこと、そもそも社内レイアウト上の見通しも悪く、動画編集は業務でも珍しいことではなかったことなどを、その理由としている。

また、WEB制作会社の社長が当該従業員に聞き取りを調査をした4月から、懲戒処分の11月まで時間が空いたことについては、「大きな問題になるとは考えていなかった」ために当初は注意にとどまっていたと主張。
10月ごろから報道関係者らの問い合わせや「押しかけ」で営業活動が著しく害されたため、減給10%(3ヶ月)の懲戒処分に切り替えたとしている。
そのうえで、「Dappi」はあくまで当該従業員による業務中の私的な投稿であり、会社の業務とは無関係であるという主張を繰り返した。

一方、両議員側は、WEB制作会社側の主張の以下のような点に疑問を呈している。

聞き取りと注意があったとされる4月以降も10月まで「Dappi」の投稿が続いていたこと
投稿のために国会中継やDHCテレビ「虎no門ニュース」の内容を視聴・確認する時間が勘案されていないとみられること


そのうえで、調査報告書や懲戒処分関係の書類の提出を求めている。WEB制作会社側の弁護士は、会社側と相談のうえ、検討するとしている。