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太陽光パネル1枚と約11km先のパネル約8万枚を電線でつないで一体の発電所とする太陽光発電計画について、西村明宏環境相が「待った」をかけた。計画が合理性に欠けると判断し、電線敷設の撤回を含む抜本的な見直しを求めた。西村環境相が2022年8月18日、環境影響評価(アセスメント)手続きに基づき、西村康稔経済産業相に意見書を提出した。
経産省は、国の固定価格買い取り制度(FIT)で認定された場所に数枚のパネルを置き、そこから数十キロメートル離れた「飛び地」に大半のパネルを設置する太陽光発電事業をかねて問題視。制度の趣旨を逸脱する行為とみて、基本的に認めない方針を示してきた。今回の事業計画についても、西村環境相の意見を踏まえ、計画の見直しを求める可能性がある。
問題となっているのは、菅生太陽光発電合同会社(東京・港)が宮城県村田町と仙台市で計画している「菅生太陽光発電事業」だ。同社が国際航業に委託し、環境アセスの第1段階に当たる計画段階環境配慮書を作成。22年6月に公表した。
配慮書によると、仙台市の約15m2の土地に出力0.66kWの太陽光パネルを1枚設置。南に約11km離れた村田町の65haほどの土地に8万3160枚程度のパネルを並べ、「自営線」と呼ばれる電線で双方を結び、一体の発電所として整備する。最大出力は約4万kW。
自営線は、仙台市道(約3.1km)と宮城県道(約5.4km)、村田町道(約2.5km)の地下に埋設する。発電した電力は、村田町の土地の一角に立つ既存の鉄塔から東北電力の送電網に系統連系し、FITを利用して売電する。
この事業はもともと、FITの認定を受けた仙台市の土地で行う予定だった。しかし、一帯が認定後、市の「杜の都の風土を守る土地利用調整条例」に基づく自然環境保全区域となり、開発事業の実施が困難になった。
そこで、約11km離れた村田町の土地を事業区域に追加し、双方を自営線で結ぶ計画に変更した。村田町の土地を事業区域に追加する形を取ったのは、仙台市の土地で認定を受けた割高な買い取り価格で売電するためだ。
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