出入国在留管理庁は7日、福岡市南区の日本語学校「西日本国際教育学院」に対し、留学生を鎖と南京錠で拘束する悪質な人権侵害があったなどとして、留学生を受け入れる認可を抹消した。在校生約630人は転校させるよう指導する。日本語学校運営の基準を厳格化した2016年以降、抹消処分は初めてという。

 入管庁によると、21年10月25日に同校職員が、転校を希望していた20代のベトナム人男性と自身のベルトを南京錠が付いた鎖でつないで数時間拘束。寮に帰した後も、男性が外出しないよう翌日まで部屋の前で監視を続けた。他の職員も止めなかったという。

 11月に関係機関から情報提供を受けて入管庁が調査。学校側は身体拘束と人権侵害を認め、「悪ふざけだった」と弁明した。さらに、留学生への使途不明の現金徴収や、教員変更の報告漏れが判明した。
入管庁は「人権侵害は特に悪質で重大。指導による改善は見込めず、留学生の受け入れを認めることは適当ではない」と判断。法務省告示による、留学生を受け入れることができる日本語教育機関の一覧から外した。

 拘束があった当時、その様子を映した動画が交流サイト(SNS)に投稿され、男性を心配する声を受けた西日本新聞「あなたの特命取材班」が12月に報道。同校は取材に「(悪ふざけの動画や画像をネットに投稿して問題になる)『バカッター』のような動画だった。(内容が)誤解されている」と釈明していた。

 日本語学校が留学生を受け入れるためには、教育の質や在籍管理能力を入管庁が審査し、日本語教育機関として告示される必要がある。16年に福岡県直方市の日本語学校が授業料徴収のために留学生に違法就労をあっせんして摘発されるなど、運営のずさんさが問題になり、国は同年に告示抹消の基準を明確化した。西日本国際教育学院の抹消を受け、告示されている日本語学校は全国で824校になった。(高田佳典)
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/984088/

https://www.nishinippon.co.jp/uploads/image/1396972/large_IP220906JAA000818000_0002_CDSP.jpg