林外相、米国務長官に「ビートルズのセッション」を強要 「余裕はない」と拒否されひんしゅく(デイリー新潮)
https://news.yahoo.co.jp/articles/67f3ed8fabb25e7c59357a0cc5734c37ba0ed01f

“音楽は国境を越える”とはいうものの、おのずとTPOが求められてしかるべきである。まして外交の最前線ともなれば「諸刃の剣」となるのは必至。今回は、鍵盤で大国の政権中枢を魅了しようとするも、あえなくしくじってしまった大臣のお話である。

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総理特使としてアフリカ開発会議に出席し、さる8月29日にチュニジアから帰国した林芳正外相(61)。かねてビートルズファンとして知られており、現地では得意のパフォーマンスを披露する一幕もあった。

「首都チュニス近郊にある音楽博物館を訪れた林大臣は、展示されていたピアノでビートルズの『Let It Be』を即興で弾き、チュニジアの首相は拍手で応えました」(政治部記者)

同行の記者団にも「いい音が出た」と話したとのことだから、さぞ会心の出来だったのだろう。

「林大臣は1997年には国会議員仲間とバンド『ギインズ』を組むなど無類の音楽好き。昨年12月には英国リバプールで開かれたG7外相会合において、夕食会場となったビートルズ・ストーリー博物館でジョン・レノンの『Imagine』を演奏し、会見では“勇気を出して一節を弾かせていただいた”と述べていました」(同)

が、そうした自慢の腕も、用い方いかんでは「不協和音」を生じさせかねない。さる政府関係者が明かす。

「大臣は自らの演奏で国際会議デビューを成功させたことで、すっかり味を占めてしまいました。以後も外交日程では何かとビートルズ関連の“ネタ”を入れるよう事務方に指示を出していて、そのたび職員は対応に追われています」

さらに、5月には以下のような一幕があったという。

「バイデン米大統領が訪日した際のことです。林大臣は同行したブリンケン国務長官とのビートルズセッションを望み、外務省の飯倉公館にピアノやギターを用意させようとしたのです」(同)

実際にセッションの曲目まで決まっていたといい、

「それは『Don’t Let Me Down』『Get Back』『Let It Be』『Two Of Us』でした。ところが、米側はこの打診を拒みました。諦めきれない大臣は再び要望を伝えましたが、“朝6時台から動かなければならないほど仕事が山積みで、セッションをしている余裕はない”と、にべもなく断られてしまったのです」

当の国務長官は、

「“ハヤシは一体、何をしたいのだ”とこぼしていたといいます。これとは別に、大臣はエマニュエル駐日米大使にもセッションを打診したことがあり、同じく拒否されている。米大使館からは“ミスター・ハヤシは音楽担当大臣なのか”と、呆れる声が上がっています」(同)

参考までに林外相が選んだ4曲を訳すと、それぞれ「がっかりさせないで」「戻って来て」「あるがままに」「僕ら二人で」と、実に意味深である。ご当人に尋ねると、

「質問状を頂ければ……」

とのことで、外務省は、

「セッションを申し出た事実はございません」(報道課)

そう答えるのだが、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、

「外交とは、換言すれば国益を守るための血の流れない戦争です。そのためにはだましもすれば脅しもかける。冷徹な駆け引きも必要となるのに、日本では“仲良くすれば何とかなる”のが外交だとされている。林外相は自己陶酔している場合ではありません」

「週刊新潮」2022年9月8日号 掲載