大阪府で飲食店を営む女性(58)は昨年11月、34歳の長男を自死で失った。

長男は空調会社に勤めていた5年前、職場でいじめに遭い、精神的に不安定になって退職した。
家族とほとんど会話しなくなり、布団の中で、天井を見上げて過ごす時間が多くなった。

店の客足も、なかなか戻らなかった。売り上げは、多くてもコロナ禍前の半分ほど。
1日の客が1人だけの日もあった。9月初旬、将来への不安から思わず、長男にこぼした。

「これからどうしよう。週1回でいいから、あんたも仕事をしてくれたら……」
数日後、予期せぬ言葉が返ってきた。「おれ、働くわ」。
長男の決意に、喜びがこみ上げた。
「ほんま? お母さん、うれしい」。

だが、その2カ月後、長男は自宅の浴室で命を絶った。
「期待をかけ過ぎ、追い込んでしまった。
コロナ禍がなければ、違った人生があったかもしれない」。

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