生活保護受給者の70代男性が競馬を的中させ、327万円余りの払い戻し金は行政側に返還すべきとの判決が出ていたことがわかった。産経新聞が報じた。生活保護制度では、競馬などで得た収入を届け出ると、その分が翌月の保護費の支給額から“差し引かれる”規定となっており、今後同様のケースが多く出てくる可能性がある。生活保護費のありかたについて大きな議論を呼びそうだ。

生活保護費で327万円儲けるも裁判所が徴収認める
保護費の返還を命じられたのは大阪府茨木市に住む70代男性。平成25年4月から令和元年7月までの約6年間、インターネット上で馬券を購入し、的中のたびに払い戻しを受けていたという。

ひそかに払い戻しを受けた額は327万円余りとかなりの高額。男性はJRA側から計101回の払い戻しがあったことが口座記録からわかっており、的中させた回数は多かったようだ。

これだけ金額をもらえば相当な儲けかと思いきや、馬券に投じた総額は約480万円に上り、トータルの収支は150万円ほどのマイナスで、大幅な赤字だとしている。

このことから男性は返還義務はないと訴訟で訴えたものの、大阪地裁は認めず、払戻金から的中馬券の購入代金を差し引いた全額を行政側に返還するよう命じた。

1回当たりの馬券購入代金を100円と推計した上で、的中馬券の購入代金を差し引いた326万4720円を徴収されるとみられる。払い戻し金は“全額没収”されることになる。

裁判では、「そもそも払戻金が馬券の購入代金を上回ることは極めてまれであり、男性側の主張を認めれば、生活保護受給者は収入を届け出ないまま、結果的に生活がさらに困窮する可能性が生じ、生活保護法の目的に反する」と判決理由が明かされた。
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