昭和期に統一教会が日本で勢力を拡大した背景に、有力者の庇護があった。自民党右派政治家の岸信介と、大物右翼の笹川良一である。現在の自民党の一部議員などと繋がる政界人脈は、この時期の深い関係を起源としている。

統一教会は教祖・文鮮明が1954年に韓国で起こした教団だが、1961年にクーデターで韓国の全権を掴んだ朴正熙政権、とくに金鍾泌初代長官率いる秘密警察「韓国中央情報部」(KCIA)と手を組み、反共産主義を前面に押し出していった。当時の力関係からすると、反共運動を強化するためにKCIAが統一教会を手駒として使ったという図式になる。

当時は冷戦が激化していた時代だ。東アジア地域での反共陣営は当然ながら連携する。統一教会が最初に日本に入ってきたのは1958年だが、前述したように1961年に韓国で朴正熙が権力を握ると、その反共フロント組織として政治運動にシフトし、それにともなって日本の右翼陣営にも接近していった。日本で宗教法人として認定されるのは1964年、日韓で右翼団体「国際勝共連合」が設立されたのは1968年である。