東京五輪汚職の闇

 東京五輪の汚職問題もまた、これまで論じられることのなかった問題である。

 東京地検特捜部の捜査によって、高橋治之元理事が受託収賄の容疑で逮捕された。贈賄側は、紳士服大手のAOKI、出版のKADOKAWA、広告代理店の大広、駐車サービス「パーク24」である。今後も、検察の捜査の対象となる企業が増えてくると思われるし、容疑は現職国会議員にまで広がる可能性もある。

 検察の捜査によって、五輪のようなスポーツイベントを食い物にする利権の構造が明るみに出ている。この分野の政官業の癒着構造にメスが入れば画期的なことで、五輪の商業化に対する歯止めにもなるだろう。

 安倍元首相が健在であれば、検察もここまで踏み込んだ捜査をしなかった可能性もある。大会組織委員会会長だった森喜朗元首相は、安倍派の元トップであるが、検察は任意で数回事情聴取をしている。特捜部も一定の配慮はしたと思われるが、今や安倍派に対する気配りは不要になったのである。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4da50a6601f641ac4a8ef85e718ccc5e84327cb2?page=4