ウクライナでのロシアの軍事的後退を受け、プーチン大統領はどのような選択をするのか?
https://www.reuters.com/world/europe/what-are-vladimir-putins-options-after-russian-military-setback-ukraine-2022-09-13/

1.【安定化、再編成、攻撃】
ロシアと西側の軍事アナリストは、モスクワの立場から、ロシア軍が緊急に前線を安定させ、ウクライナの進出を止め、再編成し、可能なら反攻を開始する必要があるとの見解で一致している。しかし、ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ軍を壊滅させる作戦で、どれだけの犠牲者を出し、どれだけのハードウェアが放棄・破壊されたかを考えると、ロシアに十分な地上部隊があるか、十分な装備があるか、西側諸国は疑問視している。

ポーランドのロチャン・コンサルティング社のディレクター、コンラッド・ムジカ氏は、ロシアが北東部で後退した後、「マンパワーがない」と述べた。

「義勇軍の大隊は戦力が不足しており、募集キャンペーンも期待された成果を上げていない。今後、入隊希望者は減るだろうから、さらに悪化すると思う。モスクワが兵力を増やしたいのであれば、動員をかける必要がある」。

ロシアの軍隊の数を増やす努力には、新しい第3軍団の結成、チェチェン共和国の指導者ラムザン・カディロフによる新軍の編成、そして先月プーチンがロシア軍の規模を拡大する法令に署名したことなどがある。

プーチンは、盟友であるセルゲイ・ショイグ国防相を含む軍上層部の解任や再編成を求める民族主義者の批判の要求に応じるかどうかを決定する必要がある。プーチンは伝統的に、部下をすぐにクビにしろという圧力には屈しないが、後日別れを切り出すことはあった。

2.【動員】
過去5年間に兵役に就いた約200万人のロシア人予備軍を動員することは可能だが、訓練と配備に時間がかかる。

クレムリンは火曜日、全国的な動員について「今のところ議論していない」と述べた。

このような動きは民族主義者には好評だが、都市部に住むロシア人男性の中には、戦いに参加することにあまり乗り気でない人もいることが事例として示されている。

ウクライナに関する公式メッセージを再調整し、限られた目標を持つ「特別軍事作戦」という表現から、無制限の戦争へと移行することになる。

そうなれば、当局は、プーチンがウクライナに侵攻した2月24日以前と同じように、ほとんどのロシア人の生活を確保しようとする方針を放棄せざるを得なくなる。

ロシアを完全な戦時体制にすることは、国内政治的なリスクも伴う。特に、強制徴兵に対する国民の反発のリスクは大きい。

また、ロシアが同じスラブ民族の国に対して全面的な戦争をしていること、そしてその戦争がモスクワにとって悪い方向に進んでいることを認めることになりかねない。

ロシア外務省に近いシンクタンクRIACの責任者であるアンドレイ・コルトゥノフ氏は、当局が動員について消極的であるとの見方を示した。

「大都市では、多くの人が戦場に行きたがらないし、動員は人気がないだろう」とコルトゥノフ氏は言う。

「第二に、この作戦を限定的なものとして見せることは、間違いなくプーチンの利益となる。国家は、抜本的な改革をせずに、できる限り以前の状態を維持したいのです」。

元駐ロシア英国大使のトニー・ブレントン氏は、ロシアの戦闘力に影響を与えるような動員を行うには、いずれにしても数カ月はかかるだろうと述べている。