財務省が発表した8月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収支」は2兆8173億円の赤字となりました。1979年1月以降、過去最大の赤字です。エネルギー価格の高騰や円安の影響で、輸入額が3か月連続で10兆円を超えて10兆8792億円と過去最高となったことが主な要因です。

原油の輸入金額は、アラブ首長国連邦(UAE)産を中心に90.3%増と大きく伸びました。石炭は3.4倍、液化天然ガス(LNG)は2.4倍に膨らみました。円安ドル高が輸入品の価格を押し上げており、貿易赤字は今後も続くとみられています。

これまで最大の貿易赤字だったのは2014年1月の2兆7951億円で、この時も円安や資源の輸入額が膨らんだことが要因でした。

輸出額も8月としては過去最大の8兆619億円。アメリカ向けの自動車やオーストラリア向けの軽油、中国向けの半導体製造装置が伸びています。

原油の円建ての単価は1キロリットル当たり9万5608円で、前年の同じ月よりも4万4606円上昇しています。為替レートは8月の平均で1ドル=135円08銭となり、前年同月比で22.9%円安が進んだことになります。

赤字は13か月連続で、東日本大震災の後、32か月連続で赤字が続いた2015年2月以来の長さとなります。

貿易赤字が拡大すると、企業などが支払いにあてるドルなどの外貨の調達を目的に円を売る必要が出てくるため、円安がさらなる円安につながる可能性があります。