ホテルのブュッフェで優雅に朝食を食べようとしたときのことだった。
空いてるブースから料理を取ったら『割り込むな』とジジイに怒られた。
うるせえな、お前が並ぶのはあっちだろ、と窓から見える火葬場の看板を指さしたら
一部始終を見ていたグエンが「ブラボー!」と俺の肩をポン、と叩いてきた。
周りにいるドカタや窓際っぽいスーツが拍手喝采で俺を讃える。
いたたまれなくなったジジイは取りかけのおかめ納豆をもどし、そそくてと部屋に帰っていった。
俺はジジイを追いかける。謝れよジジイ!
「だからすみませんって言ってるじゃないか!」
令和4年7月8日 奈良のとあるホテルにて