共産党の志位和夫委員長は17日、東京・渋谷の党本部で党創立100周年記念講演を行い、「対米従属」と旧ソ連や中国による干渉などを否定した昭和36(1961)年の党綱領を重視する姿勢を強調した。上意下達の党指導部の独裁を可能にすると批判されてきた組織原則「民主集中制」を堅持する方針も示した。

志位氏は大正11(1922)年の党の誕生を振り返り、「日本社会発展の最大の障害物であった天皇絶対の専制政治の変革に正面から取り組む政党が日本に初めてあらわれた」と自画自賛した。また、「革命とは恐ろしいことでも困難でもない」と述べ、共産主義実現の目標を掲げ続けると強調。一方で最近の党勢後退を認め、「1960年代から1970年代のような強くて大きな党をつくろう」と呼びかけた。

講演では61年綱領路線を重視する姿勢を打ち出した。対米関係に関しては「日米同盟を絶対化して、『軍事対軍事』の悪循環に陥ることこそ最も危険な道。日米安保条約廃棄が国民多数の声となるよう、独自の取り組みを一貫して推進していく」と訴えた。

また、党の歴史で最大の危機は「旧ソ連と中国によって武装闘争を押し付ける乱暴な干渉が行われ、党が分裂に陥るという事態が起こった」ことだったと言及。1950年代に多くの死傷者を出した武装闘争に関して中ソ両国とその影響下にあった党の「分派」に責任があったとの見方を示し、「武装闘争方針の否定こそが61年綱領を確立する出発点だった」と訴えた。共産主義の評価を落としたロシアや中国とは一線を画し、武装闘争の責任は分派などにあると強調する狙いが透けてみえる。

さらに、志位氏は規律を破る分派主義は絶対に許さないなどの観点から、「民主集中制の原則を守り、発展させることが何よりも大切だという教訓も引き出した」と語り、今後も堅持する方針を明らかにした。(内藤慎二)



■筆坂秀世氏(元共産党政策委員長)の話 「党が元気だった1960~70年代を振り返ったり、61年綱領と言っているのは先が見通せていない証拠だ。党員の高齢化、機関紙『しんぶん赤旗』の読者減少が共産の半世紀にわたる病だが、そこからどうしても抜け出せないのだろう。民主集中制はもともと暴力革命に必要な軍隊的規律だったが、規約で分派や派閥をつくらせないとしている共産にとっては必要なのだろう」