コメ価格、3年ぶり上昇へ 2022年産

 2022年産のコメの卸価格が3年ぶりに上昇する見通しとなったことが16日、分かった。新型コロナウイルス禍から外食需要が持ち直していることや、コメの作付け転換が進んだことで需給バランスが改善傾向にあるため。共同通信が主な産地に取材したところ、コメを集荷するJAグループが生産者に前払いする金額の基準で、卸価格の先行指標となる「概算金」は、生産資材の高騰で経営が厳しい農家の事情にも配慮し、多くの銘柄で増額となっている。

 農家にとってはウクライナ危機や円安に伴う肥料や燃料などの生産コスト上昇の影響を緩和する支えとなる一方、消費者にとっては食品や日用品の値上げが相次ぐ中、主食のコメの店頭価格も上がれば家計の負担感がより強まりそうだ。

 概算金は、前年産米の在庫や消費の動向、新米の作付け状況などを踏まえて全国農業協同組合連合会(JA全農)の県本部などが銘柄ごとに決定。実際に卸業者に販売されて農家に収入が入るまでには時間がかかるため秋ごろに前払いする。新米相場の目安の一つとされ、JAグループなどの出荷業者と卸売業者の間で取引される卸価格に当たる「相対取引価格」や、店頭での価格にも一定程度反映される。

 21年産は主要銘柄で前年に比べ2~3割程度の大幅減額が相次いだが、22年産は主要産地で増額に転じている。主な銘柄の60キロ当たりの概算金は、新潟の一般コシヒカリは前年より1500円高い1万3700円、富山のコシヒカリが1300円高の1万2300円となった。岩手のひとめぼれや山形のはえぬきも千円上がった。北海道のななつぼしや秋田のあきたこまちは500円の上げ幅となった。

 農林水産省が公表しているコメの相対取引価格(全銘柄平均)は、19年産まで5年連続で上昇していたが、20年産で6年ぶりに下落。21年産も出回りから今年8月までの平均価格が前年産より安くなっている。
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