パキスタン洪水、温暖化で雨量最大5割増か 国際研究チーム分析

洪水が発生した地域を移動する水牛。

 パキスタンの国土の3分の1が浸水したとされる大雨について、
地球温暖化によって降水量が最大50%増加していた可能性があるとの分析結果を、国際研究チームが16日発表した。

 パキスタンでは6月中旬からモンスーンに伴う大雨が続き、同国政府の統計によると、
被害が大きかった南部のシンド、バルチスタン両州の8月の降水量は平年の7~8倍で、過去最多となった。
川があふれるなどして各地で洪水や地滑りが相次ぎ、6月14日からの3カ月で1400人以上が死亡した。

 英国やパキスタンなどの研究者が参加する研究チーム「ワールド・ウエザー・アトリビューション(WWA)」は、
観測データやコンピューターシミュレーションで、今回の大雨と温暖化の関係を分析。
19世紀後半から世界の平均気温が約1・2度上昇したことで、
被害が大きかった南部2州の5日間の総降水量が最大50%増えた可能性があるとの結果になった。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、パキスタンを含む南アジアでは異常な大雨が増加傾向にあると指摘している。
ただし、この地域は雨の降り方の毎年の変動が大きく、
研究チームは温暖化との関係についての今回の分析結果には「不確実性がある」とした。

 研究チームのメンバーで、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのフリーデリケ・オットー上級講師は
「年によって天候が大きく異なる地域のため、温暖化の影響を正確に数字で表すのは難しいが、
温暖化が寄与していることは明らかだ」としている。【岡田英】

https://news.yahoo.co.jp/articles/81042a1e221cb843731d1a9def39ed96653f8eb2