「的外れな質問かもしれませんが」 クワガタ研究の大学院生に臆せず質問した小学生 12年後、研究者の卵に

「的外れな質問かもしれませんが…」。12年前の北海道・札幌、クワガタムシの研究について話す北海道大学の大学院生に、昆虫好きの男子小学生は臆せず疑問をぶつけました。
そして2022年9月、東京都内でおこなわれた動物学会にて、少年は大学院生として研究の発表をしました。その会場にはあのクワガタムシの研究者が聴講していました。「会っていなければ研究者を目指していたかどうか…それぐらい影響を受けました」と研究者の卵は話します。歳月を経て重なる2人の科学者の軌跡、ロマンだなあ。

「静岡大学理学部の後藤寛貴・助教(進化発生学、昆虫学)が、市民向け講演でクワガタが大好きな小学生と出会い、成長した彼の研究発表を聞く側になったことを感慨深くツイート。「先生のトークで研究者を志したのですね」「ロマンを感じます」とユーザーがコメント。「佐伯貴弘と内藤雄太みたいな話です」とプロ野球イイ話に例える人もいます。

■小学生とは思えない振る舞い

北大理学部から大学院環境科学院に進んだ後藤さん。2010年、大学院生が自身の研究を話すサイエンストークで、博士課程の研究テーマだったクワガタムシの大顎発達について話をしました。オスの大顎発達をもたらすホルモンを突き止めた研究を披露した後、質疑に移るとすっと挙手する小学生。「オスでホルモンを処理すると大顎が発達するとのことでしたが、メスに処理した場合はどうなるのですか?」と尋ねたのが柄澤匠さんでした。

しっかりとした言葉遣い、加えて「的外れな質問かもしれませんが」という研究者が使う質問の枕詞を小学生が使ったことで、強い印象を残した柄澤さん。この質疑をきっかけに、2人の交流が始まりました。研究室を案内して、飼育しているクワガタムシの見学。柄澤さんは翌年のサイエンストークにも参加し、後藤さんが夏休みの自由研究について相談に乗ったことも。「柄澤君の親御さんから『将来の夢が決まったようです』といったメールをいただいたこともありました」(後藤さん)。

https://news.yahoo.co.jp/articles/73d5f8ff7b302bc10f0e56ed92ba7d8662aeaee3