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都道府県別「肥満要注意ランキング」1位は奈良県、47位は東京都コロナ禍の影響も

天高く馬肥ゆる秋。おいしい食材が多く、食べすぎて太りがちな季節だが、テレワークによる自粛太りも気になる。そこで肥満の最新状況を調べた。
日本人の肥満状況を知る上で参考となるのが、厚生労働省の『国民健康・栄養調査』だ。
BMI(Body Mass Index)は体重と身長から算出される体格指数で、「ボディマス指数」とも呼ばれる。その基準は左表の通りで、肥満や低体重の判定に用いられてきた。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、2020・2021年は『国民健康・栄養調査』が行われなかった。
そんななか、予防医学や未病対策の観点から『ニッポン健康大調査』という民間調査を 2017年から継続して行っているのがアンファー社だ。
同調査は47都道府県から100人ずつを抽出(男性50人・女性50人、20〜60代で各10人均等割り)した計4700人を対象に、例年2月に実施されている。調査内容は「平均BMI」や「運動・食生活・睡眠・嗜好品・ストレス」の5項目で、定点調査の結果を健康スコアにして偏差値化してきた。
「弊社では、平均BMIの数値が高い都道府県順に『肥満要注意ランキング』を毎年発表しています。
本年度、要注意な都道府県の1位は奈良県です。前年1位の沖縄県は小数点第2位以下の僅差で2位。最も優秀な47位が東京都という結果でした」(同社広報・舛野瞳さん)
なかでも注目なのが、コロナ禍での過去3年間における平均BMIの変化と、東京都の躍進だという。
「コロナ禍が本格化する直前(2020年)の調査で要注意1位だった和歌山県の平均BMIは22.3でした。
それに対して、2021年の1位(沖縄県23.7)や2022年の1位(奈良県23.1)は、BMIの数値が約1ポイント上回っています。コロナ禍で日本全体が肥満化傾向にあることが読み取れます」(舛野さん・以下同)
それに比して東京都の平均BMI値は、2020年11位→2021年42位→2022年47位と大きく改善されてきている。
「コロナ禍以前はお酒も飲むし、夜更かしもし、ストレスもたまるのが東京都民の傾向でした。が、コロナ生活に入ってからは在宅勤務が増え、それとともに一気に睡眠時間も増えました。居酒屋に行かずにおとなしく家飲みしたり、ノンアルコールドリンクに変えるなどして、健康要素が増している傾向も見えます。コロナ禍の悪影響はもちろんあるものの、健康改善のきっかけづくりという点で、東京都民にとってコロナ生活はよい影響を及ぼした面もあったと言えるのです」
別掲図は『ニッポン健康大調査』2022年版における、東京都と奈良県の判定チャートだ。
「東京都の場合、運動・食生活・睡眠・ストレスのレーダーチャートが大きく広がっています。
一方、奈良県は運動と食生活に関してはかなり凹んだ状態で、とりわけ運動スコアが平均を大きく下回っています。運動に対する意識が低く、間食頻度の高さが全国7位になるなど、食生活に難ありなこともわかってきています」
さらに、働き方によって間食や夜食の頻度が異なることもわかってきた。
「働き方別に1週間の間食と夜食を比較したところ、在宅勤務の人の間食と夜食の頻度が群を抜いて高いことがわかったのです」
『国民健康・栄養調査』でも、日本人のBMIは近年増加傾向にあったが、これにコロナ禍が拍車をかけたというわけだ。
日本人は内臓脂肪による隠れ肥満に厳重注意を!
では、なぜ肥満はいけないのか?これについてメディカルチェックスタジオ東京銀座クリニック院長の知久正明さんは次のように語る。
「たとえば沖縄県。昔は伝統的に健康にいい食事を取る長寿県でしたが、食生活の欧米化が進み、平均BMI数値の上位常連組になったら、心筋梗塞や脳梗塞など血管が詰まる病気が明らかに急増したのです」
皮下脂肪型の肥満が多い欧米人と違って、日本人の肥満には内臓脂肪型が多く、脂肪がお腹につきやすいという。
「内臓脂肪型の肥満では腸の周りの腸管膜や肝臓のほか、血管の周りにも脂肪がつきます(医学的には『血管周囲脂肪組織(PVAT)』という)。
血管の周りに脂肪が沈着すると、そこから動脈硬化を進行させる物質をたくさん出し、血管の中にプラークという脂分やコレステロールを形成し動脈が硬くなることにより、ゆくゆくは高血圧の原因にもなります。さらに内臓脂肪は糖尿病にもなりやすく、糖尿病・動脈硬化・高血圧の3つが重なると、将来、認知症にもなりやすいのです」(知久さん・以下同)
太るといけないのは、年をとってから増える病気を呼び込みやすくするから、ともいえる。