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「肺炎が死因」子への殺人罪などで起訴の父親 初公判で一部否認

わが子3人に対する殺人や傷害致死の罪に問われている父親の初公判が20日、福岡地裁で開かれました。父親は、わが子3人のうち2人に対する殺人の罪は認める一方、養子の男の子に対する傷害致死の罪は一部否認しました。

武林仁美裁判長の「名前は?」という問いに、「田中涼二です」と答えたのは、20日に初公判を迎えた住所不定・無職の田中涼二被告(42)です。髪を短く刈り、車いすに乗って入廷しました。

事件が発覚したのは、去年2月25日です。当時、田中被告が暮らしていた飯塚市伊川の県営団地で、田中被告の養子で、当時9歳だった大翔さんの遺体が見つかりました。その翌日、飯塚から約250キロ離れた鹿児島市内のホテルで、田中被告の実の子どもで、当時3歳の長男・蓮翔ちゃんと、当時2歳の長女・姫奈ちゃんの遺体が見つかりました。現場からは、遺書とみられるメモが見つかり、3人で一緒に死ぬことをほのめかす内容でした。

それから2か月後、事件が再び動きました。

■松枝記者
「男の身柄が、鹿児島から福岡に移されます。」

警察は、現場のホテルから飛び降り、大ケガをした田中被告の回復を待って、蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんの首を絞め殺害した疑いで逮捕し、その後、田中被告は起訴されました。さらに、養子の大翔さんの顔や胸、太ももを何度も殴るなどして死なせた、傷害致死の罪などでも起訴されています。

20日に福岡地裁で始まった初公判で、武林裁判長に「起訴された内容にどこか違うところはありますか?」と問われると、田中被告は「大翔に暴行したのは間違いないが、暴行によって死んだかは分かりません」と大翔さんに対する傷害致死の罪について、起訴内容を一部否認しました。一方で、蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんに対する殺人罪については、認めました。

検察側は冒頭陳述で「大翔さんを虐待死させた田中被告が蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんのを道連れに自殺しようと考えた」と述べました。

一方、弁護側は大翔さんが亡くなる数日前に肺炎を発症していて、それが死因になった可能性があると主張しました。暴行したことは認める一方、傷害致死の罪は成立しないとして、争う姿勢を示しました。

また、午後からは亡くなった3人の母親で、田中被告の元妻が検察側の証人として証言台に立ちました。母親は、「田中被告が養子の大翔さんにだけ食事中にテレビを見ることを禁止したり、毎朝目覚ましなしで6時半ちょうどに起きることを強制したりしていた」と、証言しました。

21日は、田中被告への被告人質問が行われることになっています。