岸田首相「NISA恒久化が必須」 NY証券取引所で講演

 岸田文雄首相は22日(日本時間23日)、米ニューヨーク証券取引所で講演した。老後のための長期的な資産形成を可能にするために、個人向けの少額投資非課税制度(NISA)の「恒久化が必須だ」と明言。各種NISAごとにある制度終了の期限を撤廃して恒久的な制度にする考えを明らかにした。政府は2023年の通常国会で必要な法整備を進める考えだ。

 講演では「今日は世界経済のど真ん中であるウォールストリートに『日本経済は力強く成長を続ける。確信を持って日本に投資をしてほしい』というメッセージを届けにきた」と語りかけ、自身の経済政策「新しい資本主義」の具体策も説明。NISAを巡っては、日本の個人金融資産2000兆円を貯蓄から投資へ誘導する「資産所得倍増プラン」を紹介した。

 労働市場の改革にも言及し、従来の年功序列の雇用形態から、職務を明確にして成果重視で処遇する「ジョブ型」雇用が中心となるよう「日本に合ったシステムに見直す」と表明。「労働移動を円滑化し、高い賃金を払えば、高いスキルの人材が集まり、労働生産性が上がるというサイクルを生み出していく」と強調した。

 人工知能(AI)や量子、脱炭素分野などへの科学技術投資については、スタートアップ(新興企業)への投資を重視していくとし、株式の売却益を元手にスタートアップ投資をする場合の税優遇措置を拡充していく意向を示した。

 脱炭素に向けた社会変革「グリーントランスフォーメーション(GX)」への投資では「ロシアの暴挙が引き起こしたエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の問題に正面から取り組む」と語り、十数基の原発の再稼働や次世代革新炉の開発などに向け、年末までに具体的な結論を出すよう検討を加速する考えを改めて示した。
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