https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/22/7/22_7_1033/_article/-char/ja/

灯油吸飲に起因する肺膿瘍の一切除例

症例は30歳代,男性.統合失調症で入院中だったが,自宅外泊中に自殺企図で約100mlの灯油を飲んで,当院に搬送された.初診時の理学所見,画像所見は異常なかったが,入院6時間後より頻呼吸,喘鳴,低酸素血症が出現し,右下肺野に浸潤影を認め
灯油誤嚥による化学性肺炎と診断し,直ちに人工呼吸管理を開始した.抗生剤を使用し肺炎像は収束していったが,中葉に肺膿瘍を疑わせる径6cmの腫瘤影が残存したため中葉切除を行った.術後経過は順調で,第30病日に前病院へ転院となった.近年の抗生剤の発達により,肺膿瘍に対する手術適応は限られているが,症例を選択すれば有効な治療手段になり得ると思われた.