日中国交正常化から29日で50年となる。日中関係が冷え込んだまま迎える節目だが、内閣府の外交に関する世論調査からは、あるデータが浮かび上がる。

 それは、若い世代ほど、中国への親近感が高いことだ。

 中国に「親しみを感じる」とした比率は、70歳以上で13・2%、60代で13・4%と低迷している。40代では24・6%とやや上昇する。
それが、18~29歳では41・6%。全体平均20・6%の2倍超だ。

 一体なぜなのか。

「地理のテストのグラフで、一気に伸びている国があれば、中国だった」

 早稲田大4年の菱井創さん(22)が、中学時代に中国に抱いたイメージは「急激に発展した国」というものだった。地理の授業で見る鉄鉱石生産量や
電力消費量の推移などの数値で、2000年代ぐらいから急伸しているのは、中国だけだった。

 小学生のとき、中国製ギョーザによる中毒事件が大きな問題となり「中国は怖い国」だと感じた。しかし、その後も経済成長を続ける中国の勢いに陰りは見られなかった。

 高校2年のとき、中国の春秋戦国時代を舞台に描いた人気漫画「キングダム」を学校の図書館で全巻読み、「中国の広大さ」を実感。
漢文の授業で「2千年以上も前の外国語を原文で読める」ことに魅力を感じ、大学では中国の文学や文化を学ぶことにした。

 オランダのライデン大学に留学中の楢本珠貴さん(22)は、子どもの頃から世界遺産に興味があった。紫禁城、万里の長城など数多くの
世界遺産を持つ中国は「いつか行ってみたい」国だった。

 しかし2012年、日本政府による尖閣諸島国有化をきっかけに、中国各地で反日デモが発生。テレビで日本車が群衆に破壊される様子を見てショックを受けた。

 「中国人は反日の人が多いから、親しくなれない」と思っていた。しかし、3年前にオランダに留学し、中国人留学生の友だちができ、先入観が崩れた。

 「国同士の関係は難しくても、人同士なら仲良くなれる」という事実が新鮮だった。

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