ソニーの平井一夫前社長に聞く 強力なチームの作り方


---平井さんは当時、どのようなチーム作りを心掛けていたんですか?

社長直属のマネジメントチームにはエレクトロニクスやゲーム、映画といった各ビジネス分野のトップが集まります。
まず当然求めるのはその業界の圧倒的な知識と経験、それに人脈です。担当のビジネスを実質経営してもらっているわけですから
またチームを率いているのでやはり人間としてリスペクトできるってことが非常に重要になってくると思います。
肩書ではなくて、人格で仕事ができることです。

もう1つは、私の意見に対して「ちょっと待った。私はこう思うんです」って言える勇気を持っていることです。
逆に「平井さんそのとおりですね」と言われると、えらい心配なわけですよ。
私が言ったことを全部肯定するのであれば、チームの皆さんがいる必要ないんですよ。自分でやりますから。

--「違う」と発言していいんですね。

会社に対する付加価値は「こういう見方がありますよね」と異見を言ってくれることにあります。
私と同じことを言っていたら価値がないということは、かなり強く伝えていました。

---上司に向かって意見するのって、なかなか難しいこともあるのかなって、思ってしまいますが…。

私も昔経験があります。新しいリーダーがきて「何でも言ってよ」と話していたので言ったら「なんでお前そんなこと言うんだ」って逆に怒られて。
こうなると「じゃあもう何も言わない」ってなるわけですよね。
なので、発言しても安全なんだと感じてもらえる環境をつくるんですよ。

---どうやってつくるんですか?

私は別の人のアイデアを採用してうまくいったら、取締役会とか上司の皆さんに「これは彼の彼女のアイデアですばらしかったんですよ」って言います。
逆にうまくいかなかった場合は「私が判断ミスしました」って言うんです。“あの人の提案で私には責任はないです”ってスタンスは、絶対とりません。

---そうなんですね。

そうすると、チームのメンバーが「いいものは必ず採用してくれる」「うまくいかなくてもちゃんと保護してくれる」と思ってくれるんです。
こうした安全な環境をつくることによって、より大胆な発言、より違う視点から見た発言が出やすい状況になる。これが大事です。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu973/