(ブルームバーグ): トラス英政権は3日、所得税の最高税率を45%から40%に引き下げる案を撤回すると明らかにした。クワーテング財務相が自身のツイッターアカウントを通じて声明を発表した。

ポンドの対ドル相場は一時約1%高となったが、その後上げ幅を縮小した。短期金融市場が織り込むイングランド銀行(英中央銀行)の11月までの利上げ幅は、122ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に縮小した。

最高所得税率引き下げはクワーテング財務相が9月23日に示した補正予算案に盛り込まれていた。今回の方針転換は、発足してわずか1カ月の新政権にとって大きな痛手を伴う失点となる。
同財務相は3日、BBCテレビに対し、この問題で辞任を検討したことはないと語った。

財務相は「45%の税率撤廃が、わが国が直面する困難に対処する最も重要なミッション(任務)の妨げとなったことは明らかだ。結果的に45%の税率撤廃を推進しないと発表する。われわれは理解し、耳を傾けた」とツイートした。

首相は2日のBBCとのインタビューで、国内で物議を醸す最高税率引き下げについて、クワーテング財務相による決定だと発言し、市場が混乱する中でも政府の方針を貫く考えを示していた。

トラス氏は、与党保守党大会の開催中に政策の責任を財務相に負わせるという異例の対応を取った。
その挑戦的姿勢は、首相のリーダーシップだけでなく、財務相と共に推進する経済対策への与党内の怒りをさらにあおり、週明け3日の取引再開後に市場を再び動揺させる恐れがあった。

事情に詳しい関係者によると、クワーテング財務相は与党議員による造反回避のため、最近数日のうちに25人前後の下院議員と話し、経済が直面する問題解決に減税案が役立つと説得に動いたという。
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