前頭葉機能が衰えてくると、意欲低下や前例踏襲思考が目立つようになる。前頭葉というのは、予想していなかったことに対応する機能も担っているので、前頭葉が衰えてくると、想定外のことを避ける傾向が出てくる。

 例えば、ハズレをおそれて行きつけの店にしか行かなくなるとか、同じ著者の本しか読まなくなるとかいうのは前頭葉機能の低下の初期徴候の可能性が高い。

 そして前頭葉の機能が衰えてくると、意欲が低下して、たとえば外出しなくてもいいやとか、出世しなくてもいいやということになり、さらに老化が進んでしまう。

 というのも、歳を重ねるほど「使わなかった」際の機能低下が激しくなるからだ。例えば、コロナ禍などでの自粛生活。50代くらいまでであればステイホームを強いられる期間が2年以上になっても、歩けなくなったり、頭がボケたようになったりすることはない。しかし、70代以降になると本当に歩けなくなってしまう。だから、歩き続ける、頭を使い続ける意欲は極めて重要なのだ。

 記憶の低下より、意欲の低下のほうが先に起こる、それが老化を促進してしまうということを知っておいてほしい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/90024a8a82a4adad52175c3905d382f86636cf78?page=2