旅行支援でホテル代が値上がり?自治体に苦情相次ぐ

 政府が旅行代金を補助する「県民割」によって、宿泊料金が値上がりしているのではないか――。そんな声が複数の自治体に寄せられている。観光庁は「不当な価格設定」をしないよう呼びかけているが、不当かどうかを確かめる手立てがないのが実情だ。

■1年前の3倍に?目を疑う価格設定

 東京都に住む30代の自営業の女性は、11月下旬に泊まる山梨県のホテルを予約しようとしたところ、その価格に目を疑った。

 1年前の同じ日、そのホテルに宿泊した時は大人2人で素泊まり1万円ほどだった。それが、今年は3万8千円。仕方なく他のホテルを探しているという。

 この女性は旅行やドライブが好きで、他県に住むパートナーとよく旅行に行くが、相手は会社員のため、宿泊料金が安い平日は休めない。11日から始まる全国旅行支援では平日には手厚いクーポンをつけ、政府として平日の旅行を後押しするが、女性は「平日に旅行ができるのはどんな人たちなのでしょうか。高くて混んでいる旅行にしか行けない層には不満しかありません」と語る。

 旅行代金の一部を補助する「県民割」は昨年4月に始まった。同じ県内の旅行代金について、1人1泊5千円まで国のお金で補助する仕組みだ。その後、関東や近畿など、一定の地域ブロックへの旅行に範囲が広がった。東京都を除く46道府県が実施している。

■「便乗値上げ」の意見も、有効な手立てなし

 ところが、県民割を見越して宿泊料金が割高になっているのではないか、という意見が各地の自治体に寄せられている。

 「通常7700円の宿泊料金が、内容が同等で1万円に値上げしたものがある」「あまりお得感を感じません」。山梨県のウェブサイトでは、こうした利用者からの声を公開している。中には「税金を使ってホテルが差額を懐に入れてるだけではないだろうか」と、宿泊施設側がわざと料金をつり上げる「便乗値上げ」を疑う意見もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1f7a3a20365c26f9e1318210291058388e54f5f6