不正の日野自動車、隠語が並ぶ従業員アンケ お立ち台、三遊間…

 外部有識者でつくる同社の特別調査委員会が8月2日に公表した従業員アンケートでは、「お立ち台」「三遊間」など野球用語になぞらえた社内用語(隠語)が並び、組織の風通しの悪さやパワハラ体質が浮き彫りになった。主なアンケートの回答を紹介する。

「お立ち台」「上(神様)が絶対」

・身の丈に合わない業務量をこなそうとする姿勢。「できません」「分かりません」は言えず「やるのが当たり前」の文化。
・達成不可能な目標を精神論で乗り越えさせようとする文化。結果として精神論で乗り越えた社員が評価される風土。
・我々は(問題を起こした担当部署や担当者が他の部署も数多く出席する会議の場で、衆目にさらされながら問題の原因や対応策について説明を求められる状況を)「お立ち台」と呼んでいて、担当者レベルで責任を取らされることになっていた。
・上の意見は絶対で、神様のようにあがめ、上(神様)が決めたことが絶対であり、未達成はありえない風土が形成されていったように考えられる。
・エンジン関係部署と協議すると、役職が上がれば上がるほど自分の考えが正しい、やってきたことが素晴らしい、エンジン関係者は偉いから従えという印象を受けるし、横柄な態度でろくに話も聞かない。

責任部署が不明瞭=「三遊間」

・(組織変更のたびに担当部署が不明瞭な)「三遊間(の業務)」が発生したり、引き継ぎができず担当不在の業務が発生したりする。
・過去の車型の仕様がどのようなプロセスで決まったのか、あとになって追うのが困難。不正な判断があったとしても、何年かたてば「私の判断ではない。知らない」と言えば、逃げ切れる可能性が高い。
・「そんな細かいこと気にしなくてもいいんじゃない?」「ちょっとくらい大丈夫でしょ」という雰囲気を嫌というほど感じた。自分勝手な拡大解釈の行く末が今回の不正につながったと思う。

・コンプラ知らずのむちゃくちゃな仕事の進め方でやってきたので、いまだにその癖が抜けず、昭和が終わって30年以上たつのに、仕事の進め方が変えられない。

「経営層は裸の王様」諦め

・自分たちのやってきたことは正しいと思い込んでいる人たちにより、変革が進まないと感じることが多い。その方々は「今まで問題なかったのに、なぜ変えなきゃいけないんだ!」「俺の言うことを否定するのか!」などとどう喝ともとれる態度で接する傾向が見られる。

https://mainichi.jp/articles/20220912/k00/00m/020/035000c