(1997年の金融危機)それから25年。
企業業績は史上最高となる一方で、深刻な人手不足にもかかわらず、企業経営者や労働組合までもが賃上げに慎重な姿勢の出発点は、97年の金融危機にあると考えている。
以後、毎年当然のように行われていたベースアップが消えた。
人件費を抑制した企業経営者と賃上げなしでも人員削減を回避したい労働組合との間で、ある種の密約のようなものができたと思う。
正社員の雇用は守るが、賃金は抑制的にし、不足人員は非正規雇用で穴埋めするという構図ができあがった。
(エコノミスト 2022年10月11日号)より