「一票の格差」を解消しないまま実施した7月10日の参院選は投票価値に著しい不平等が生じて憲法に違反するとして、弁護士グループが近畿2府4県の各選挙区の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が14日、大阪高裁であり、牧賢二裁判長は「違憲状態」と判断。一方で、憲法違反には至っていないとして、無効請求は棄却した。

今回の参院選での最大格差は3・03倍。判決理由で牧裁判長は「3倍を超えているという不均衡は軽視することができない」と指摘した。

隣接の選挙区を統合する「合区」などを導入した公職選挙法改正からも約7年が経過しているとして「このような格差が継続し、常態化することも危惧される」として、さらなる是正のために現行の選挙制度の仕組みを見直す必要があったとした。

一方、前回参院選の「一票の格差」をめぐる最高裁判決では、選挙制度の見直しの必要性を明確に判示していなかったことを理由に「国会において、著しい不平等状態を具体的に認識することができたとは言い難い」と判断。格差が是正されなかったことは国会の裁量権の範囲を超えず、「憲法違反に至ったとはいえない」と結論付けた。

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