ボストンで「Tsurumen Davis」というラーメン屋を営む大西さんによると、ボストン中心部のレストランの皿洗いの時給は22ドルだそうです。ラーメン屋でも1年目の社員が完全週休2日で月に4千ドル以上、店長クラスで5千ドル以上、アメリカドルでこの給与ですので、今の為替レートで実に72万円になります。大西さんによると、給料の上がらない日本から出稼ぎに海外に出て、日本に仕送りをするというような未来もありうるのではと指摘していますが、それが、きわめて合理的で真っ当な判断と言わざるを得ないのが、何とも恐ろしい事実であると感じます。

 実際、腕のよいラーメン職人は海外に流出するだろう、というような話も頻繁に耳にしますが、自分自身、ここカナダでラーメン屋をやっていると、同じ作業をして日本では800円でしか売れないものが、ここでは倍の値段で売れてしまうので、どちらが良いかと問われれば、考えるまでもありません。それに加えて、ラーメンは非常に自由度の高い食事で、まだまだ進化の途中であるといえます。

 もちろん日本でもラーメンはさらに進化していくと思われますが、海外でしか成立しえないラーメンの進化の可能性は未知数です。海外でラーメンで一旗あげて外貨を稼ぎ、日本で悠々自適に生活するというような未来もあり得ます。日本に住む有望な若者が、そういった夢をもって海外に出て挑戦することを切に望みます。

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