東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会マスコットの公式ライセンス商品を販売した玩具会社「サン・アロー」(東京)側が大会組織委員会元理事の高橋治之(はるゆき)容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=に対し、売れ残ったライセンス商品のぬいぐるみの販路を確保するよう依頼していた疑いがあることが17日、関係者への取材で分かった。

東京地検特捜部は、サン・アロー側から受領した計約800万円を巡る受託収賄容疑で、高橋容疑者を勾留期限の18日にも再逮捕する見通し。逮捕されれば紳士服大手「AOKIホールディングス」、出版大手「KADOKAWA」、広告会社「大広」の事件に続き、4度目となる。

関係者によると、サン・アローの幹部は高橋容疑者との共通の知人が経営するコンサルティング会社の口座に平成30年から複数回にわたり資金を振り込み、最終的に高橋容疑者へ計約800万円が渡ったという。

サン・アローは公式ライセンス商品として大会公式マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」のぬいぐるみを製造し、30年7月から販売した。

関係者によると、同社幹部はオフィシャルショップなどで売れ残った商品について、販路を確保してほしいと高橋容疑者に要望。高橋容疑者は組織委関係者に意向を仲介し、その後、売れ残った商品は展示会に出品されるなどした。

組織委はライセンス商品の承認を行うほか、販売促進支援も行っていた。特捜部はサン・アロー幹部の要望が高橋容疑者の組織委理事としての職務に対する依頼(請託)の一部になりえると判断したとみられる。

関係者によると、高橋容疑者は特捜部の調べに、サン・アロー側への便宜供与や、受領した資金の賄賂性を否定しているという。

一連の事件で高橋容疑者が受け取ったとされる賄賂の総額は、これまでに3社から計約1億4200万円にのぼっている。

https://www.sankei.com/article/20221018-GVSIGMCB5BNUVM63N5HKB5WL3M