兵庫県で暮らすMさん(35)も体調を崩し、今年1月から生活保護の受給を開始した一人。単身者向けマンションで一人暮らしをしています。両親や兄弟は遠くに住んでいないものの、頼れる環境ではありません。特に兄弟は育ち盛りの子どもたちがおり、お金を出してほしいと言える状態ではなかったのです。

止む無く行政に相談し、生活保護を受給する運びとなりました。当時を振り返りMさんはこう言います。

「まさか自分が生活保護をもらうことになるとは、考えてもみませんでした。自分とはまったく関係のない世界だと思っていたんです」

働き盛りといえる35歳のMさんの身に、何が起こったのでしょうか。
月給7000円…もう起き上がれない

Mさんが勤めているのは人材派遣会社。リゾートホテルや工場へ人材を派遣しています。しかし、コロナ禍によりリゾートホテルへの派遣が激減。リゾートホテル部門の担当者だったMさんの収入は、月約7000円までに落ち込みます。

給料はもらえないにも関わらず途切れず舞い込む仕事に、Mさんはどんどん疲弊していきます。時に深夜まで続くミーティングでは、経営者や上司からの叱責ばかりで具体的な改善案など出されません。ようやくミーティングが終わったかと思いきや、今度は日付が変わってから届く経営者からのLINEに悩まされることになります。

実際の給与明細。固定給5万円から様々な控除を引かれ、銀行に振り込まれたのは7624円
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そんな生活がコロナ禍から始まり2年弱。2021年12月上旬、Mさんは起き上がれなくなってしまったのです。「もう仕事も何もどうでも良い。自分の頭で考えるのも嫌だ」。このようなことを朝日が差し込む部屋の中で考えました。

そんな時、思い出したのが友人の一人の存在です。すがるような気持ちでLINEを送ったところ、すぐ返事が届きました。そこに書いてあったのは、「もう仕事に行かなくていい」。許された気分になりました。

https://maidonanews.jp/article/14740243