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東京地裁=東京都千代田区で、米田堅持撮影

 SMBC日興証券を巡る相場操縦事件で、金融商品取引法違反(相場操縦)に問われた同社元執行役員の杉野輝也被告(57)と法人としての同社の初公判が28日、東京地裁(神田大助裁判長)で開かれ、検察側は同社幹部の間で交わされたメールの内容を明らかにした。同社の元部長は「(株価が)値崩れしないように支えました」などと、違法な買い支えを示唆するメールを上司の元副社長執行役員に送っていたと指摘した。

 メールを送ったとされるのはエクイティ部元部長の山田誠被告(45)=同法違反で起訴。起訴状によると、元部長は2019年12月~21年4月、証券取引所の立会取引時間外に大株主から株を買い取って売却先を募る「ブロックオファー取引」に絡み、上場企業10社の株価の終値の下落を防ごうと、大量の買い注文を入れたとされる。

 検察側によると、元部長は20年11月、上司だった元副社長執行役員の佐藤俊弘被告(60)=同=に業務報告のメールを送信。その中にブロックオファー取引が成立した自動車部品メーカーの株について「(株価が)大きく値下がったのでヒヤヒヤでした。値崩れしないように支えました」との記載があったとした。元副社長執行役員は返信で「さすが部長」などと元部長を持ち上げ、これに対して元部長が「苦情処理係です」などと返信していたと指摘した。

 検察側は他にも元部長と元副社長執行役員との間で交わされたメールや電話の通話内容を法廷で明らかにしており、2人の共謀を裏付ける証拠と位置付けている模様だ。