絶対に“観てしまう”アニメ『リコリス・リコイル』 視聴者を逃さない画面づくり

『リコリコ』で輝く“生っぽい”演技の声優
犯罪を未然に防ぐべく暗躍する組織・DA(Direct Attack)。そこに所属していたエージェント(リコリス)・井ノ上たきな(CV:若山詩音)は、命令違反の責任を問われて支部である喫茶リコリコに飛ばされる。
一見すると和風なカフェだが、やはりDAの支部。先輩である錦木千束(CV:安済知佳)とともに様々な依頼に駆り出されることになる。

『リコリス・リコイル』の設定としては、硝煙の匂いが蔓延るアクションもの。しかし、そこは『WORKING!!』に携わった足立監督。
合理的な性格ゆえにあまり心を開かないたきなが、自由奔放な性格の天才・千束と交流を深めていく過程をメインに描いていく。

この二人を演じる安済知佳と若山詩音は、奇しくも先に挙げた『SSSS.DYNAZENON』で共演。
前者は『響け!ユーフォニアム』(高坂麗奈役)、後者は『空の青さを知る人よ』(相生あおい役)でも観客に鮮烈な印象を与えているが、その二作品はリアルさがある種の売りだった。

しかし『リコリス・リコイル』は、いみぎみるの萌え的なイラストがメイン。
二人の武器ともいえる「生っぽさ」をメインに据えるのはいささかミスマッチでは、と思う人もいるだろう(いみぎみる作品の『この美術部には問題がある!』は萌え的なアプローチが取られていた)。

だが、この二人がキャラクターに命を吹き込むことで、ただフィクションにいるというわけではなく、リアル目の演技で地に足のついたキャラクター像が確立された。
荒唐無稽ともいえる舞台設定に説得力を持たせることに成功している。DAによって犯罪が激減した近未来の日本。
それを伝える一つの役割として、安済知佳・若山詩音の声があるように感じる。

先に公開された足立監督へのインタビューによると、企画初期は女の子が銃を持って戦うことだけが決まっていた。
しかし、内容としてはシリアスめだったようで、先行作品の『GUNSLINGER GIRL』や真下耕一監督の諸作品とかち合わないためにどうしたらいいかと考えた末で、ポジティブな作品になったという。

加えて、ミリタリー面を推すわけではなく、千束とたきなというタイプ違いな女の子二人が仲良くなる様子に焦点を絞ったのだ。
もちろん監視社会になろうとしている昨今の社会情勢を皮肉ったDAの設定はあるにしろ、一視聴者としては「千束とたきなが可愛い!」「関係性萌え!」と言える作品だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9468f4084c44f5bb2731d9e668cd5ec1ea826973