利益の再分配「トリクルダウン」は確かに起きた
「アベノミクスで恩恵を受けたのは、株式投資家と大企業だけで、トリクルダウン(たとえば、大企業の利益が増えれば、
中小企業や労働者にその利益が及ぶという現象)は起きていない」という主張もある。

アベノミクスが始まった当初は、「雇用が増えたといっても、非正規社員ばかりで、
正規社員は増えていない」といわれたが、アベノミクスの7年間で、
正規社員は149万人も増え、正規社員の有効求人倍率は1.14倍まで上昇した。これはトリクルダウンである。

中小企業はアベノミクスの恩恵を受けていないとよくいわれるが、実際は、18年度の資本金1千万円以下の
企業の売上高経常利益率は、全産業では、12年度の1.7%から2.6%へと1.5倍も上昇しており、
バブル期のピークである89年度の2.1%をも上回っているのである。

中小の製造業は2.8%で、対12年比で1.8倍(バブルのピークの89年の3.1%をやや下回るが、
16年度は3.5%を記録し、バブル期のピークを上回った)の上昇である。中小非製造業も対12年比で
1.6倍へと大きく上昇しており、バブル期のピークの1.8%をも大きく上回っている。
こうした中小企業の利益の大幅改善は、「トリクルダウン(大企業の利益の増加はやがて、中小企業の利益になる)」である。

アベノミクスによる就職市場の大幅改善も「トリクルダウン」である。なぜならば、
学生の学力や仕事をする能力が就職氷河期の学生よりも改善したおかげで、
就職市場が改善したわけではなく、改善したのは、単に景気がよくなったからである。

以下ソース
https://president.jp/articles/-/52643?page=1