松山キャスター:
米バイデン政権は7日、軍事転用可能な半導体関連製品の中国への輸出について完全に許可制にする規制強化措置を発表した。日本は同じような厳しい措置はとれるのか。

甘利氏:
それに並んだ措置を取らないとサプライチェーンから外される危険性がある。
軍事技術に転用されるものは、輸出先がそれを使って日本の脅威になることになっても、それに対抗できる技術がこちらにあるという余地を残して貿易政策を考えないといけない。
最高のものをどんどん与えていけば、向こうの資金力と人材力の方が上だから、こちらをオーバーライド(圧倒)する危険性がある。
技術移転を常に戦略的に考えるという思想が、政府にも民間企業にも必要だ。

玉木氏:
この経済安全保障の議論は国民民主党としてもずっと言ってきたことだ。モノの規制に意識が行きがちだが、セキュリティクリアランスが重要だ。
ある人がどういう技術にアクセスできるのか、人材や技術についてソフト面での規制をやらないと、生産されたモノの規制をどうしようと、それを作る人材のチェックをしないと漏れていく。
今回4つの柱の経済安全保障法が成立したことは第一歩としてはよかったが、国民民主党が提出している総合安全保障法案の柱はセキュリティクリアランスだ。
これをぜひやってほしいと役所にも言ったが、答えは「これをやるのに何千人も必要で、定員・予算がつかない」だった。一番肝心なことをやらなかったら、いくらモノの規制をしても根こそぎ抜かれる。
民間人で協力する人がいれば、全部抜かれていく。セキュリティクリアランスの分野、人と技術の規制、管理、コントロールということを日本はもっと強化する必要がある。
甘利氏:
玉木さんが話したことはものすごく大事なことだ。私は大賛成だ。ただ、事実として本当に難しい。
セキュリティクリアランスは、技術のレベルによりアクセスする資格を持つこと。
ということは、バックグラウンドチェック、例えば、借金があるかないか、預金はどうか、親戚関係はどうか、どういう人と付き合っているかなど、トップシークレットにアクセスする人はものすごく調べられる。

このバックグラウンドチェックの文化がなかなか日本にまだ根付いてない。就職する時に親の職業を聞いてもいけないという状態からのスタートだから。
ただ、それをやらないと日本がデカップリング(切り離し)されてしまう。セキュリティクリアランスの仕組みのない国と組むと、こちらの秘密が漏れる、
技術が漏れると。そういう国の企業と組んだらうちの技術はうちから出ることはないけど、あんたのところから出るよねとなる。仲間はずれにされてしまう。
日本だけがガラパゴスになる。国民の理解を得ながら少しずつ進めていく。今の玉木氏の提案に私は大賛成だ。