元日銀理事が語る「物価2%目標は元々、現実的ではない」 イメージ戦略としては成功…金融緩和10年

https://www.tokyo-np.co.jp/article/212256
◆「この先も達成するのは難しいでしょう」
 最近の日銀の対応は分かりにくいと考えている人は多いはずだ。資源価格の高騰や円安で物価が上がり、日銀が目標としているはずの物価上昇率2%も上回っている。でも日銀は、インフレを促す異次元緩和を修正するそぶりすら見せない。なぜなのか。

「日銀がやっている物価目標の非常に分かりにくい部分です」と門間さんは疑問に答えつつ続ける。「日銀は安定的な2%インフレを目指すと言っています。中央銀行の言う安定的というのは、2年とか3年とかくらいの期間を意味します。数カ月じゃダメなんです。賃金も上がり、2%インフレが『普通の状態』として人々の生活に溶け込むことが日銀の理想です。しかし、『まだ達成できてないので政策は変えない』と日銀は考えています」
 とはいえ、その理想は10年近く達成できていないし、その見通しも立っていない。門間さんはその理由を「元々、現実的な目標ではないからです。この先も達成するのは難しいでしょう」と言い切る。
 背景には物価観の違いがあるという。「欧米社会は、ある程度のインフレを前提に賃金や売り上げを決める。対して日本は物価が上がらない前提で考える。物価は上がらないよね、という日本人の強いノルム(社会的規範)を金融政策で変えることは難しいし、2%はやっぱり高過ぎます」。無理筋な2%目標に固執するあまり、異次元緩和をやめられなかったとも言える。