なぜ美人を美人と誉めてはいけないのか? オヤジさんのためのジェンダー問題シン常識
CREDIT :構成/木村千鶴

東京経済大学教授でジェンダー研究をされている澁谷知美先生に、男性が日常生活の中で知っておくべき、
気を付けるべきフェミニズムやジェンダーの新しい常識について教えていただきました。

── 容姿をけなすのがNGなのはすぐにわかります。けれど最近は褒めるのもNGという声を聞きます。
そこがなかなかわかりづらいという男性も多いようです。

澁谷知美先生(以下澁谷) これは簡単な話です。
女性からすると好きでもないおじさんから容姿についてとやかく言われるのは恐怖でしかないということです。

どういうわけか「自分には女性の容姿をジャッジする権利がある」と思い込んでいる男性がいるようです。
でも、相手が女性であれ、男性であれ、容姿をとやかく言うのはマナー違反。まず、その基本を押さえましょう。

── でも美人コンテストに応募して応援を募る人もいるし、芸能人やモデルのように美しさを武器に仕事をしている人もいるわけで、
賞賛されることを求める人も多い気がするのですが。

澁谷 美人コンテストに応募する人や、芸能人やモデルを責める気はありません。アスリートが足の速さを競いたいように、
コンテストや芸能界で美しさを競いたい人はいると思うので。
問題は、容姿にまつわる評価を望んでいない人をも評価することです。

── 本人が望むなら良い?

澁谷 良いとは思わないです。というのも、女性を容姿で判断する風潮がこの社会にはすでにあって、
相手が芸能人やモデルでも、容姿をやたらと褒めることは、そうした風潮の維持に手を貸すことになるからです。
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