https://www.townnews.co.jp/0205/2022/11/04/649711.html

元市立小教員笠原登さん
言葉教育へ 短編集を出版
話す・聞く力 養う「話」編さん

高石在住で、元市立小学校教員の笠原登さん(85)が先月、実践短編集『言葉の貯金箱』を出版した。教員時代に子どもたちに語り聞かせた「ちょっといい話」をまとめた本で、笠原さんは「学級担任として定年まで勤めた後半20年間の『言葉の教育実践』の集大成」と紹介する。

 西生田小学校、生田中学校出身の笠原さん。壺井栄の『二十四の瞳』に憧れ、教員に。今井小(中原区)、中原小に長年勤務し、「初志貫徹」で生涯担任を務めた。特に注力していたのが、スピーチ活動。通常の授業の中で「読む・書く力」は養えても、「話す・聞く力」は養えないと、子どもたちに自ら考えた「いい話」を聞かせ、その中の言葉や、良かったことや感じたことを話してもらう「表現活動」の時間を毎朝設けてきた。

 そうした活動は、昭和50年代当時、革新的として注目を集め、言葉教育のモデルとしてNHKにも出演。数々の表彰も受けた。現在は、日本国語教育学会の理事も務めている。

日本語を大切に

 今回出版した本は、朝の活動で笠原さん自身が子どもたちに話してきた約2千にわたる「いい話」の中から、59話をまとめた短編集。当時の子どもたちの作文や、先生への手紙など、話を聞いた子どもたちの反応も併せて収録されている。「誰でも読めるように、子どもたちに語って聞かせられるように作った」と笠原さん。重ねて「学校の先生はもちろんのこと、家庭でも読んでもえたら。日本語を大切にしていく意識を少しでも育てていきたい」と本に込めた思いを語る。