世界の平均気温、産業革命前から1・15度上昇…国連事務総長「地球が出す遭難信号」

https://www.yomiuri.co.jp/science/20221107-OYT1T50113/

【シャルムエルシェイク(エジプト東部)=山波愛】国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で6日、世界気象機関(WMO)が今年の世界平均気温は産業革命前から約1・15度高くなるとの推計を報告した。2015年から今年までの8年間は、観測史上最も高温の8年になるといい、地球温暖化が続いていると強調した。

 WMOが発表した報告書によると、スイスの氷河の体積は2021~22年で6%、01~22年では3分の1以上が失われた。海面の上昇は21年1月から5ミリ、20年1月からだと1センチになるという。

 地球温暖化が進むと、干ばつや大雨などの異常気象の頻度が高まる。実際、東アフリカでは今年、過去40年で最悪の干ばつが発生、パキスタンでは国土の3分の1が冠水する大洪水が起きた。

 昨年の英グラスゴーでのCOP26で各国は、世界平均気温の産業革命前からの上昇幅を「1・5度に抑える努力を追求する」と合意した。しかし、条約事務局は先月、各国が温室効果ガス排出削減目標を達成した場合でも、今世紀末までに約2・5度上昇する恐れがあると発表した。

 国連のアントニオ・グテレス事務総長はWMOの発表についてのビデオメッセージで「地球が出す遭難信号に野心的で確かな行動で応える必要がある」と訴えた。

 COP27は7、8日には首脳級会合が開かれ、仏独などの首脳らが、自国の温暖化防止策などについて演説する予定。バイデン米大統領は米中間選挙後の11日に参加、日本の西村環境相は14日からの閣僚級会合に出席する予定となっている。