ワシントン(CNN) 米国のドナルド・トランプ前大統領は1日、ソーシャルメディアへの投稿で、激戦州ペンシルベニアの中間選挙の正当性に疑義を唱え、「まただ! 不正選挙だ!」と書き込んだ。
トランプ氏が証拠とする右派ニュースサイトに掲載された記事には、不正選挙の証拠はまったく示されていない。その代わりに、詳しい説明もなく、不在者投票のデータに対して根拠のない疑問を呈している。
2020年、トランプ氏と支持者らは、「選挙が盗まれた」という選挙後の虚偽の主張に向けて何カ月も下地作りに励み、長期間にわたって大統領選の結果に対する信頼性を損なおうとしてきた。そして今、22年の中間選挙投票日の数週間前から、一部の共和党候補者は同様の、同じように真実味に欠ける物言いを展開している。

連邦上院議会の行方を左右するかもしれないペンシルベニア州の中間選挙で、事実無根の疑念を広めようとする共和党員はトランプ氏だけではない。
ペンシルベニア州のリー・チャップマン州務長官代理は先週、NBCニュースに出演し、票の集計が完了するまでには「数日」かかる可能性があると発言した。これを受けて、州知事選の共和党候補者ダグ・マストリアーノ氏は、右派系の番組に出演し、「八百長をしかけるつもりだ」と語った。マストリアーノ氏は、20年大統領選について、虚偽の陰謀論をたびたび広めてきた人物。出演した番組は、リベラル系団体「メディア・マターズ・フォー・アメリカ」の監視対象となっている。
実際はそうではない。単に集計に時間がかかるというだけだ。チャップマン氏も指摘しているように、共和党が支配するペンシルベニア州議会が、投票日の朝を迎える前に各郡で郵便投票を開票できるようにする法案を否決したのが理由だ。
だが、名だたる共和党員がこの主張に乗っかった。テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)はチャップマン氏の発言に関する記事のリンクをツィートし、「なぜ民主党の州ばかりが集計に『数日』もかかるのか? 他の地域は選挙当日の夜に集計を完了させているのに」と続けた。
共和党寄りの小さな地方の郡と比べると、民主党寄りの大都市は集計する票の数がはるかに多い。そうした事実を別にしても、クルーズ議員の主張はまったくのでたらめだ。
全米のどの郡でも、選挙当日の夜に集計作業を終えることはない。これは、ファクトチェック専門サイト「ポリティファクト」が指摘しているように、クルーズ議員の地元であるテキサス州の共和党寄りの郡でもそうだ。実際のところ、ほとんどの場合、選挙当日の夜に最終集計を出すことは不可能だ。
共和党色が強い州でも、一部の州では消印が投票日前であれば、投票日以降に届いた不在者投票や海外在住の米国民や軍関係者からの不在者投票も含めて、集計対象になる。有権者が投票日の数日後に署名を訂正したり、投票日に身分証明書を忘れた際に後日提示できたりする州もあり、その中には共和党の州も含まれている。
選挙当局が投票日の夜に当選者を発表したり、最終集計を公式発表したりすることはない。むしろメディア媒体が不完全なデータをもとに、非公式の当選予測を行っているに過ぎない。


全文はソースで
https://www.cnn.co.jp/usa/35195663.html