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僕が「岡田健史」ではなく「水上恒司」として新たなチャレンジをするワケ

2018年の大ヒットドラマ『中学聖日記』でデビューし、瞬く間にお茶の間を席巻したあの日から約4年。気鋭の俳優はなぜ今、敢えて本名を名乗り新たな道を進み始めたのか――。
名前を変えることを決めたのは……
――9月1日から水上恒司として活動をリスタートしました。新しい挑戦が始まったことに対する今のお気持ちはいかがでしょうか?
水上:なかなか前例もないことですし、はじめは不安もありました。でも今はそんなに心配も無いです。むしろ新しいチームのみんなが、役のことをちゃんと考えられる環境を作ってくれているので、本当にありがたく思っています。ご心配をおかけしたファンの方々にも新しい僕の姿を思ったより早くお見せすることができそうで、今は不安や心配よりも楽しみしかないです。

――「岡田健史」さんのお名前から、本名の「水上恒司」さんに戻されたのは、ご自身の判断ですか?

水上:そうです。新しくスタートを切る際、前の名前ではなく、僕の本名「水上恒司」で歩き始めると自分で決めました。もちろん色々な方に相談をしましたよ。でも考えて考えて最終的に決めたのは僕自身です。

――今まで「岡田健史」として馴染んできたファンやスタッフ、周囲の方が名前を変えることでデビューから培ってきたものが崩れてしまうような、または驚かせてしまうような気持ちはありましたか?

水上:うーん……ないことはないですね……。混乱する方もいらっしゃるでしょうし、ファンの方々を驚かせてしまうかもしれない、と思いました。今の現場も「岡田健史」としてご一緒した方がいらして、それなのに「水上」って呼ぶのは大変だろうな、慣れなくて申し訳ないな、と思う気持ちはもちろんあります。
でも、周囲の方々に気を使うためだけに「岡田」の名前を継ぐ必要があるのかな、と考えたらどうしてもその必要性が感じられなくて……。かつての名前にそこまで固執することはない、と思ったんです。

 先のことは分かりませんが、ここから何十年も役者をすると仮定すると、今ここで変えるのはある意味、チャンスだと思いました。たしかにイメージとか、勿体ないとアドバイスして下さる方もいらっしゃいましたけれど……。
出世作『中学聖日記』で感じた“心地よさ”
――9月1日から公の場でも「水上」さんと呼ばれるようになって、慣れましたか?

水上:だんだん慣れてきましたよ。最初周りが「そうだった、健史くんじゃないんだ、水上さんなんだ……!」という驚きに対して、僕の中でも何と言いますか「ざわめき」のようなものはありました。でも今日の午前中、撮影の衣装合わせがあって皆さん普通に「水上さん」って。「岡田健史」時代にご一緒した方々も普通に「水上」とか「水上さん」と呼んで下さって、嬉しかったですし、ありがたかったですね。

――こういうお話をしているうちに、気がついたら馴染んでいくのでしょうね。
水上:そうだと思いますよ。「岡田健史」も、最初は名前を呼ばれても自分だとピンとこなくて全然リアクションできませんでしたから。いつだったかちょっと忘れてしまったんですけれど、撮影現場の遠くから「オカダさぁーーーん」って呼ばれて、あれっ、誰だろう、俺しかいないのに? あっ! 俺だっ! マズいマズい、いかなきゃって(笑)。そんな感じで最初は慣れませんでしたから。「水上恒司」の名前も皆さんに早く浸透できるようにまたイチから頑張りたいですね。
――2018年にデビューされて5年目を迎えます。デビュー作『中学聖日記』で一躍脚光を浴びて、その後すぐ『望み』『弥生、三月-君を愛した30年-』『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞して一気にトップスターの仲間入りをしました。

水上:ドラマとか映画、みんなで一緒にモノを作り上げていくのは楽しいです。今もそうですし、どんなに忙しくても辛いとか、嫌だなとかはなかったですね。撮影現場の居心地が本当によかったんだと思います。

 ただ、この1年は、やっぱり孤独や複雑な感情もありました。「なんでそんな風に見られるんだろう」とか、「そうじゃないのに」って……。でもしょうがない、しょうがないですよね、自分で選んだ道ですから。