奨学金返済残り450万円…37歳女性、結婚したいが「無理かもしれない」
11/7(月)
 「格差」の連鎖を断ち、未来を開くための命綱ともいえる奨学金制度。今や大学生の半数が利用しているが、卒業時に数百万円を超える返済を抱えて苦しむ若者は少なくない。支援団体が実施した実態調査では、返済中の1割が自己破産を考え、就職や結婚にも大きな影響を及ぼしているという。 

 「結婚を考えている相手がいます。でも奨学金の返済が450万円も残っているなんて彼に言い出せなくて…」。長崎県出身の女性(37)はため息をつく。

 源氏物語が大好きだった。あこがれの街、京都の大学で源氏物語を学ぶのが夢だった。一方で実家は、父親がギャンブルにおぼれ、多額の借金を抱えていた。
 京都の私大に合格。貸与型奨学金と教育ローンを頼りに進学した。アルバイトに励み、学費と生活費に当てた。勉強も一生懸命やり、京大の大学院で博士課程へ進んだ。

 その2年目、借り入れ総額は約1千万円に達した。「普通に働けばいずれ返せるだろう」と思っていた。だが現実は、想像を超えることが次々に起きた。リーマン・ショック、東日本大震災…。このまま研究を続けていいのだろうか。将来の返済への不安が重くのしかかる。うつ症状にも襲われるようになった。悩んだ末、博士課程を中退して帰郷。高校の先生になった。だが教職になじめず、5年前に転職した。

 今の仕事は好きだが、月収は手取りで20万円ほど。賞与はない。奨学金の返済は年間56万円。生活費はいつもぎりぎりで、貯金は100万円足らず。「奨学金の返済を理由に相手の親に結婚を反対された」。そんな話も耳に入る。結婚もしたいし、子どももほしい。でも「無理かもしれない」。全てを、諦めつつある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2926aa27bd7bd2d8a1a372a8a0dc688903f389dc