「そうだったのか」思わず納得する結末…新海誠監督新作の「すずめの戸締まり」

 新海誠監督の新作「すずめの戸締まり」(11日公開)は、そんな廃虚に埋もれた「念」と現実の世界を分ける「扉」を巡る物語だ。

 九州の静かな街で暮らす17歳の鈴芽(すずめ)は、「廃虚の扉」を探す青年・草太に出会う。彼を追って山中の廃虚に入った鈴芽は古ぼけた扉を見つけ、好奇心から開けてしまう。あちら側は荒涼とした別世界。突如現れたダイジンと名乗る猫によって、草太は「3本足の子ども椅子」に変身させられてしまう。

 扉が開いたことによって次々に起こる災い。実は草太は「扉」にカギをかけて災いを鎮める「閉じ師」だと言う。全国で開き始めた扉を閉じるため、予兆となるダイジンの足跡を追って鈴芽と動く椅子となった草太の旅が始まる。ダイジンの追跡にはSNSが有効ツールとなり、後世振り返れば、作品の時代背景を象徴する描写となるのだろうと想像する。

 怪しくもキュートな猫と動く椅子は、陰影も巧みに表情豊かに訴えかけてくる。相変わらずリアルな旅先の街並みも、光線の加減でこんなに美しく見えるのか、と新海作品ならではの新発見に満ちている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/85eec2c9a398a1de0cc0c6f11277cdb84a16c94c