ところが、今年度当初予算の5兆4005億円を現在の1ドル=147円で計算すると367億ドル。
今後補正を組んで6兆円まで増やしたとしても408億ドルに過ぎない。円安で日本のドル建て防衛費は壊滅的に小さくなる。
他国の為替も対ドルで弱くなっているので単純に比較できないが、2020年で10位の韓国は457億ドルだったので、これを下回ってしまう可能性が出てくる。
「為替爆弾」の破壊力は甚大だ。

これは数字のマジックで、実態は表していない、という声もあろう。日本の防衛装備品の多くは米国などから輸入している。
当然、円安になれば、購入費用は増える。しかも、米国など海外先進国は猛烈な物価上昇(インフレ)の最中だ。製品価格自体がうなぎ登りになっている。
国内メーカーが製造するにしても、輸入鋼材などの原材料費は大幅に上昇しており、防衛装備に十分な予算が確保できるか心許ない。

これまで通り、ドルベースで500億ドルの防衛予算を確保しようと思えば、今の為替だと7兆3500億円を計上して横ばいである。
つまり、政府が「相当な増額」と覚悟を決めて予算を増やしても、ドル建てでの「見た目」は横ばいがせいぜいなのだ。
大幅に日本円建ての数字を増やしても、諸外国への抑止力は働かないということだろう。
さらに円安が進めば、さらに防衛費のドル建ての「見た目」は小さくなる。

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